開発のキッカケは電気を流すプラスチック
いつでも、どこでも、話ができる携帯電話。便利なものですが、電池がなかったら使えません。あんなに小さいのに、何時間、何十時間も使えるのは、リチウムイオン
二次電池
のおかげといってもいいでしょう。
二次電池の二次とは、充電して(電力を蓄えて)もう一度使えるという意味です。充電のできない使いきり電池は一次電池といいます。二次電池は以前からありましたが、リチウムイオン二次電池ほど小型で電力を多く蓄えられるものはありませんでした。リチウムイオン二次電池は約25年前、日本で開発されたもので、1990年代に入ってから販売されるようになりました。最初は、ビデオカメラをはじめとしたポータブル機器の電源などに採用され、今では、携帯電話やパソコンの電源になくてはならないものとして、世界で1年間に約10億個が生産されています。
リチウムイオン二次電池の最大の特長は、高い電圧と多くの電気を蓄えることができることです。ほとんどの電池は
溶媒
に水を使っていますが、これだと得られる電圧が1.5ボルト以上にならず、蓄えられる電気の量も限られます。そのため、高い電圧と大量の電気を蓄えるには、自動車バッテリーのように、大きくならざるをえないのです。
リチウムイオン二次電池は、炭酸ジエチレンなどの有機溶媒と六フッ化リチウムなどのリチウム塩を
電解質
として、4ボルト以上という高い電圧を得ることを可能にしました。同時に、容積当たりのエネルギー量も、マンガン乾電池など一次電池の数倍になりました。
リチウムイオン二次電池を開発したのは、旭化成工業(現旭化成)の吉野彰さんです。2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士が発見した電気を通すプラスチック「
ポリアセチレン
」に、吉野さんは注目していました。これをどのように使うかを考えた結果、1981年に有機溶媒を使った二次電池の
電極
に適していることを見いだし、負極にポリアセチレン、正極にリチウムと酸化コバルトの化合物であるLiCoO
2
とするリチウムイオン二次電池の基本概念を確立しました。その後、炭素(カーボン)を負極とする、現在のリチウムイオン二次電池の特許をえたのです。
日本の技術開発力を生かして、世界で活躍するリチウムイオン電池。将来、もっと幅広く使われるようになるに違いありません。実際、2008年には、
ハイブリッド自動車
の電池として搭載される計画もあるのです。
(取材協力・旭化成)
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