塗料の常識を変えたフッ素樹脂
さまざまなものを彩る塗料。それも、風雨や日光にさらされるうちに色あせして、いずれははがれ落ちてしまいます。塗装がはがれ落ちると、美観を損なうばかりでなく、下地の金属がさびてしまったり、木やコンクリートが腐ったりします。そのため建物の維持には、塗り替え作業が不可欠です。
しかし、超高層ビルや橋などの大型建造物の場合、塗り替え作業は容易なものではありません。塗料代ばかりでなく、人件費や足場などに多くの費用がかかります。また、作業にともなって出る大量のゴミも見過ごせない問題です。
そこで、すぐれた
耐候性
によって塗装の寿命を延ばし、塗り替え頻度の大幅な低減を実現するために開発されたのが、世界で初めての
溶剤可溶型
塗料用フッ素樹脂の『ルミフロン』です。一般的な塗料は、通常4年から15年に一度塗り直す必要がありますが、ルミフロンを原料に使った塗料は長年にわたって色、つや、鮮やかさを保ち、その寿命は25年から40年にもなります。
塗装が色あせして、はがれ落ちてしまう最も大きな原因は、
紫外線
です。紫外線がもつ高いエネルギーが塗料を固めている樹脂に悪影響をおよぼし、ばらばらに分解してしまうためです。
ルミフロンは、紫外線の高いエネルギーに耐えるフッ素を原料にしています。ふつうフッ素樹脂は溶剤に溶けにくく取り扱いが難しいのですが,ルミフロンは溶剤にも溶ける性質をもたせることにも成功したのです。特にルミフロンは、フッ素成分が規則正しく並ぶという、他の樹脂にはない特長があります。これがバリア(防護壁)になって、紫外線による分解から塗装を守ることができるのです。
塗料は、使用する樹脂によって、アクリル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料などの種類がありますが、フッ素樹脂塗料は、それらのなかでもっとも優れた耐候性を示します。ルミフロンを使ったフッ素樹脂塗料は、レインボーブリッジなどの長大橋や高層ビル、さらに航空機や自動車のボディーなどの塗装に活躍しています。最近では、一般住宅の塗り替えにも利用されるようになりました。
(取材協力・旭硝子)
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